青蝶夢 *Ⅱ*
「そうも行かない、相手は
 前の会社の頃からの
 付き合いで、店を都心に
 何店舗も出す
 この業界じゃ有名な人だ
 
 ソウマさんの人望で
 ぜひ、うちの事務所に
 次の仕事はお願いしたい
 と言ってくださっている」

「それなら、余計
 俺でいいのか?」

芳野は、困惑する。

「ああ、明日は
 お前でも大丈夫だ
 とりあえず、クライアントの
 話を聞いて、こういう雰囲気
 っていうのをスケッチで
 表現してあげてよ」

「そう言われても
 やっぱり、無理だよ
 俺にも俺の仕事がある
 他のクライアントの
 書類をまとめなきゃならない
 予算の件や、建築会社から
 出された見積もりも、まだ
 チェックできていないし
 済ませなきゃならない
 雑用がたくさんあるんだ」

「分かった、そっちは
 お前が戻ったら、俺も手伝う
 とりあえず明日は、依頼人に
 会う事を優先してくれ
 
 朝、今から教える先方の番号
 に電話をして、時間等は
 彼に合わせてくれ
 終わったら
 事務所に顔出してよ」

「ああ、分かった」
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