青蝶夢 *Ⅱ*
母は、義父と別れた後
私達の家から三十分程の
ところに、賃貸マンションを
借りて住んでいる。

私は、母に娘を預けて
芳野の住むマンションへ急ぐ。

鍵を持つ手が、震えてる。

まるで、パンドラの箱を
開けるように・・・

貴方の部屋のドアを開ける。

貴方が、そこに立っていた。

ここへ辿り着くまでの間
何度も何度も、自分を責め
自己嫌悪に陥った。

お腹を痛めて産んだ
自分の命よりも、大切な
可愛い娘を置き去りに
してまでも

芳野に逢いたいだなんて・・・

母である前に
女であることを選ぶ・・・私

そんな私は、自分の母を
酷い人だと罵れるような
女じゃない

自分の方が

もっともっと酷い。
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