青蝶夢 *Ⅱ*
「もう、来る頃だと思った」

「そんなに
 私に、逢いたかった?」

「ああ」

決して、自分達に
酔ってる訳じゃない。

悲劇のヒロインを気取ってる
訳じゃない。

ただ、芳野が好きなの。

それだけ・・・

私達は、こうして
逢えない日を、幾日も
乗り越えて、情事を繰り返す。

互いの体を、貪り合う。

あなたが、わたしに

なればいい・・・

汗が滴る、貴方の胸に頬を
寄せる私。

「ねぇ、憶えてる?
 初めて逢ったあの日
 貴方は私をガキだと言った」

「ああ」

『何なの、このガキは・・・』
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