青蝶夢 *Ⅱ*
フラフラと頼りない足取りで
繁華街を歩く伊吹の前に
呼び込みの男が声をかける。

「お兄さん、一人
 これからキャバクラでも
 いかがでしょうか?」

「酒なら、もういらない」

「でしょうね
 その調子じゃ、相当飲んでる

 じゃあ、女ならどうよ
 可愛い子、いるよ」
 
そう言って男は、馴れ馴れしく
伊吹と肩を組む。

「楽しんで行けば?」

「女は、もっといらねぇ」

男の手を払い除けて

伊吹は、繁華街を歩く・・・

「飲みすぎた・・・」

伊吹は、シャッターの閉まる
店の前で、しゃがみ込む。
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