青蝶夢 *Ⅱ*
髪を切った彼女が見せる
中性的で、儚い表情は
芳野、そのもの・・・

伊吹に、じっと見つめられて
茅野の中の、伊吹への
閉じ込めた想いが溢れ出す。

伊吹を想って、胸がドキドキと
高鳴り、張り裂けそう・・・

苦しくて堪らず、目を伏せた。

誰を、見てる・・・

誰を・・・

彼女の頬に翳した左手

輝く指輪・・・

伊吹は、その手を降ろした。

俺は、何をしようとしている。

俺は、自分が分からない。

何が、俺を

こんなにも苦しめる。

この遣る瀬無い思いは

誰に、向けられている・・・

秘色・・・それとも、芳野。
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