青蝶夢 *Ⅱ*
あなたを、ほんのひと時でも
苦しみから救ってあげたい。

伊吹の肩に、腕を回して
彼を抱きしめたまま

茅野は、囁く。

「忘れさせてあげる
 
 全て
 忘れていいよ」

彼女の熱い口づけを受けながら
ベッドに倒れる伊吹。

俺を、見下ろす

貴女の、美しく潤んだ瞳・・・

貴女は、言う。

「あなたを、この手で
 めちゃくちゃにしたい」

『目の前にいるお前を
 この手で
 めちゃくちゃにしたい』

もう、どうなったっていい・・・

「カヤノ

 忘れさせてくれ」

< 171 / 334 >

この作品をシェア

pagetop