青蝶夢 *Ⅱ*
抵抗する事をやめ、瞳を閉じる
私に、伊吹は何かを感じたのか
行為をやめて、覆い被さった
ままで、優しく私を抱きしめて
くれた。

そして、大きな手で
優しく、私の髪に触れる。

貴方は、知っている。

9歳の少女の悲しみを。

私の深い悲しみ・・・

初めて抱き合ったあの日のよう
に、体を密着させて、貴方は
私を抱きしめる。

そして今度は、貴方が
私の胸で甘え、瞳を閉じる。

そして私は、貴方の頭を何度も
撫でてあげる。

今、ここにいる貴方は

私が知っている

私が愛した、伊吹・・・
< 190 / 334 >

この作品をシェア

pagetop