青蝶夢 *Ⅱ*
鍵を掛け忘れた

玄関のドア。

寝室のドアをノックする音。

「ヒイロ?」

伊吹は、唇に右手の
人差し指を立てた。

静かに、何も話さずに
息を殺す二人・・・

お願い

ドアを開けないで。

その願いは、虚しく

開け放たれるドア。

「ヒイロ、寝てるのか?
 
 ・・・・・・」

着衣を着る、時間など無く
シーツに包まるのが
やっと・・・

ベッドの床に
脱ぎ捨てられた服。
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