青蝶夢 *Ⅱ*
「ヨシノ・・・?」

私から視線を逸らした、貴方は
何も言わないで、この場所から
立ち去ろうとした。

私は、貴方を呼び止めていた。

聞こえる・・・貴方の声

「邪魔者は、消えるわ」

その切ない声は

私の胸を、突き刺した。

私は、一歩も動けない。

貴方の後を、追いたくても
追えない。

お前の悲しい顔

見たくない・・・

お前を悲しみに
突き落としたのは、この俺。

伊吹も、また、その場所から
動くことができないでいた。
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