青蝶夢 *Ⅱ*
それからの私は、伊吹への
申し訳ない想いを抱えながら
彼と、娘と三人で変わらない
生活を送っていた。

結婚した当初のように
優しい、伊吹。

最近の彼は
とっても、よく笑う。

貴方が笑うと、私は嬉しい。

貴方が笑うと、私は苦しい。

妊娠、四ヶ月・・・

診察室から出た私の
瞳から、流れる涙。

腫瘍の進行が、どうだとか

摘出手術が、どうだとか

赤ちゃんを諦めなきゃ
いけないとか

そんな事、もう

どうでもよく

なってしまった。
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