青蝶夢 *Ⅱ*
『大切な話がある』

『また、逢ってくれる?
 大切な話があるの』

同じ顔を持つ、二人は

同じ言葉を、伊吹に
投げかける。

ダイニングテーブルの
椅子に腰を降ろす芳野。

テーブルの上に、置かれた
カップからは、珈琲の
いい香りがする。

「ありがとう」

伊吹が淹れてくれた珈琲を
飲むのはいつぶりだろうか?

この珈琲を飲むと、伊吹の事
を、嫉妬する程に好きだった
過去の自分を思い出す。

「うまいよ」

「大切な話って何だ?」
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