青蝶夢 *Ⅱ*
「・・・ヒイロの事か?
 
 ヒイロなら、今
 病院へ行っている
 
 妊娠してるんだ
 俺達、うまくいって・・・」

伊吹の言葉を掻き消すように
芳野は言う。

「知ってる・・・

 ヒイロの、腹の子は
 俺の子供で
 
 アイツは今日、病院で
 子供の心音が止まっている
 という事実を知った・・・
 
 そして、お前と母親に電話を
 したらしいが繋がらず・・・

 アイツは悲しみの中
 別れた日から、一度も
 かけてはこなかった
 俺の携帯に電話をしてきた」

「あの電話・・・?」

茅野と甘いひと時を過ごして
いた時に鳴り響いた着信音・・

その後、着信があった事など
全く、思い出すことは無かった
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