青蝶夢 *Ⅱ*
「もう・・・

 つかれたわ」

「イブキ?」

「好きにしろよ
 離婚届なら・・・
 いつでも、判をついてやると
 そう、ヒイロに伝えてくれ」

そう言って、伊吹は
左手、薬指の結婚指輪を外して
テーブルに置いた。

「お前は、本当に
 それでいいのか?
 
 まだ、抱き合っただけで
 何もしていない」

「何、ヨシノ
 続きがしたかったのか?」

「いやっ、違う」
 
「じゃあ、うるさく
 言ってほしいのか?」

「違う・・・
 ただ、お前が深く考えずに
 ヒイロと別れることを
 決めたのだとしたら
 本当に、それでいいのか?
 
 そう、思っただけだ」

「何でもいいじゃん
 浅かろうが、深かろうが
 どっちにしても、俺は
 ヒイロを失う・・・」
< 253 / 334 >

この作品をシェア

pagetop