青蝶夢 *Ⅱ*
彼女が芳野を想う気持ちを
知りながら嫉妬して・・・

俺は醜い。

「イブキ、拭けよ」

スーツのズボンのポケットから
取り出した、白いハンカチを
芳野は、伊吹へと差し出す。

ハンカチを受け取る、伊吹。

「まさか、お前に
 こんなの借りるとは
 思わなかった」

そう言って、悪戯に笑う伊吹に
つられて、芳野も笑ってしまう

久しぶりに見た、芳野の笑顔。

伊吹の心は、とても苦しい。

今は、まだ・・・苦しい。

いつか、この恋心も

いい思い出に

なるだろうか・・・?
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