青蝶夢 *Ⅱ*
芳野の携帯電話に
何度もかかる着信音・・・ 

履歴の相手は、そう
一番付き合いの古い女性・・・

彼女は、芳野との別れを
まだ、信じられずにいた。

「もしもし・・・済まない
 何度も言うように
 俺は、もう逢わない
 悪いが他を当たってくれ」

通話を切る芳野は、携帯電話を
ソファー前、テーブルに置いた

切ったはずの携帯電話の
着信音が鳴り響く・・・

切れる・・・鳴る・・・切れる

その音を聞きながら、芳野は
テーブルの隅に放置されたまま
の草臥れた煙草の箱を見つめた

『今日も、疲れたぁ~』

ソファーに寝そべる芳野。

『ヨシノ、仕事はどう?
 もう、慣れた』

『ああ・・・』

芳野は、新しい煙草の箱を
開けようとした。
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