青蝶夢 *Ⅱ*
芳野は、悲しみ続ける私に
『伊吹の元へ行こう』と
何度も、言ってくれた。

そして、何度も何度も
娘を連れて出て来れなかった
事を、私に謝るのだった。

「貴方は、何も悪くない
 誰も、悪くないの・・・」

きっと、悪いのは私・・・

私の行いが、全ての原因。

だけど、娘だけは誰にも
渡さない。

藍には、こんな情けない私でも

必要なはず・・・

でも、今の私には
伊吹と話し合う前に
やるべき事がある。

そう、稽留流産の手術に
卵巣腫瘍摘出術・・・

これから行われる手術を
無事に乗り越えて
早く元気になり
娘を迎えに行こう。

藍の事を思うと胸が苦しい。
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