青蝶夢 *Ⅱ*
自分の想いのままに
全てを手にいれることは
できない。

家庭を壊しても
得たかったものが
今、ここにある。

貴方だけは、もう
傷つけちゃいけない。

私は、貴方の髪に
そっと触れた。

私が悲しいと

貴方は、もっと悲しい。

退院の後、伊吹と何度も
話し合いをした。

その度に、私は涙を流し
訴え続けた。

「アイを、私に返してください
 お願いします」
 
「今日こそは
 アイを、連れて帰ります」

何度も、何度も声に出して
伝えることはできるのに

いざっ、娘を連れて帰る
段になると、私は、伊吹から
娘を奪う事ができなかった。
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