青蝶夢 *Ⅱ*
加賀さんは、この近くで
雑誌の撮影があった為に
モデルに同行していたらしい。

私の頬に手を翳す・・・

「それにしても、貴女
 少しも変わってないわね
 相変わらず、中性的で
 キレイ・・・
 本当に出産したの?」

「はい、女の子を・・・」

「まあ、女の子を・・・

 その子にはいづれ
 貴女の代わりにモデルに
 なってもらわなくちゃ
 いけないわね

 なんて、冗談よ」

加賀さんの言葉に驚く私に
彼女は笑ってみせた。

私は、とっておきの笑顔を
彼女に見せた。

こんな風に笑ったのは
いつ振りだろうか・・・?

私の笑顔を見つめながら
加賀さんは黙り込み
何かを考えている。
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