青蝶夢 *Ⅱ*
ある夜、芳野は電話で
話していた。

「お前・・・
 やっぱり、そうか
 それで、どうする?
 結婚・・・
 カヤノ、ちょっと待て
 イブキがそう言ったのか?」

私は、食事の終えたテーブルを
隅々まで、綺麗に拭きながら
芳野の声をずっと聞いていた。

電話の相手は、茅野さん。
彼女が結婚・・・

伊吹と・・・?

「ちょっと待てよ
 今からここへ来るって・・・
 本気なのか?」
 
一方的に切られた電話を
芳野はもう一度かけ直すが
茅野は電話に出ることは
無かった。

「マジかよ」

「どうしたの?」
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