青蝶夢 *Ⅱ*
「ヒイロ、ごめん」

そう言い残し、伊吹は
帰って行った。

茅野は、帰りの車の中で
伊吹に問いかけた。

「ねぇ、イブキ・・・

 そんなに、二人の事が
 許せないの?」

「どうして?」

「だって、アイちゃんは
 ヨシノとヒイロちゃんの
 子供なんでしょう?
 
 二人に・・・」

「アイの父親は、俺だ」

「そう・・・誤解しないでね
 私は、アイちゃんの母親に
 なるのが嫌で言った
 訳じゃない」

「分ってるさ」

茅野は、眠る藍の頭を撫でる。

「良いママになるからね」

水の音だけが聞こえる・・・

強いシャワーを頭から浴びる
芳野。

冷たい水で食器を洗う、秘色。

涙が、流れる・・・虚しい。
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