青蝶夢 *Ⅱ*
赤ちゃんを望んでいたのは
私だけでは無かった・・・

決して、口に出して言う事は
無かったけれど、芳野も私と
同じ気持だったことをその涙
で知った。

そして、今また、新しい命が
ここに宿っている。

「仕事、良かったの?」

「ああ、この近くの現場の
 状況を見た後は、家に帰れ
 って、イブキが・・・」

芳野は、また以前のように
伊吹の設計事務所で
働いている。

一級建築士の資格を取った事
で、自信を持った芳野は今
遣り甲斐のある仕事と
日々、向き合っている。

疲れていても、何だか
とっても楽しそう。

「そう、じゃあ後で
 夕飯の買い物
 付き合ってくれる?
 
 アイが、エビフライが
 食べたいって」

「アイの奴
 俺と気が合うじゃん 
 俺も、海老、食べたい」

「ハナもエビ、たべる」

「ああ
 お前も、エビ好きだもんなぁ
 
 いっぱい、買ってやる」
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