青蝶夢 *Ⅱ*
海老という言葉が引っ掛かった
私は、ある事を思い出して
つい、笑ってしまう。

「どうした?」

「ううん、何でもないの」

「何、気になるだろう?」

『俺がエビが嫌いだって事は
 ヨシノには、絶対言うなよ
 アイツの大好物だから』

「内緒に・・・
 しなくても
 
 もういいかなぁ」

「何、言えよ」

芳野の手から放れた、花は
その場に、ペタリと座って
地面の土を触っている。

「大したことじゃないよ
 
 イブキがね
 海老が苦手だって
 昔、言っていた事を
 思い出しただけ」

「えっ、そうなの?

 嘘だろう・・・
 
 アイツ、この間
 昼飯の弁当で
 エビフライ、うまいって
 食ってたけど・・・」

芳野は、首を傾げる。
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