青蝶夢 *Ⅱ*
伊吹は、吸いかけの煙草を
灰皿へ何度も押し付ける。

「知ってるよ
 ヒイロから、義父との
 話は、全て聞いた」

席を立つ、伊吹の表情は
激しくなる。

「知っているなら、どうして
 そんな場所に、妊娠中の
 不安定なヒイロを居させる
 
 あそこは、アイツに
 とっては、地獄・・・
 そんな場所にアイツを
 信じられない
 
 ヨシノ、何があったか
 知らないが、今すぐ
 迎えに行った方がいい
 
 ほらっ、行こう、ヨシノ」

芳野の腕を掴む、伊吹の手を

彼は、振り払う。

「その必要は無い」

必要は無い・・・
< 35 / 334 >

この作品をシェア

pagetop