青蝶夢 *Ⅱ*
「そんな・・・
 
 お前は
 それでいいのか?」

悲しげな芳野の横顔・・・

「仕方ねえじゃん・・・
 俺は、本当の
 オヤジじゃない

 あっ、すいません」

店員を呼び止める芳野は
生ビールを注文する。

「生中、イブキ、お前は?」

「じゃあ、俺も・・・」

「二つ、お願い」

「はい」

芳野は、赤いシャツを着た
店員の背中をボーっと
見つめている。

「イブキ
 今日は付き合えよ
  
 寂しいから・・・」

寂しげな芳野の瞳に
伊吹は魅せられる・・・

「バカ、そんな台詞は
 女に言えよ」

「そうだな・・・」
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