青蝶夢 *Ⅱ*
ヨシノ・・・

お前は、どんな想いで
秘色の手を放したんだ。

芳野と秘色が決めた事なら
俺には何も言う権利は無い。

テーブルに置かれた
中ジョッキの生ビールを
手に持つ伊吹は言う。

「ほらっ、そんな
 しけた面すんなよ
 今日は、とことん飲もう
 
 あっ、酒に酔う前に
 大事な話、言っとくわ」

「ああ、何?
 カヤノと
 縒りでも戻ったのか?」

「いや違う、仕事の話だ
 お前、今の仕事辞めろ
 俺が使ってやる」

芳野は、驚いた顔をしている。

「お前、何言ってる?
 もう、酒に酔ったのか」
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