青蝶夢 *Ⅱ*
力強く、掴む・・・

「放せよ」

目を閉じたまま、芳野は言う。

「介抱しろよ」

「誰がするかよ
 手、放せ
 俺は忙しいんだ
 酔っ払いに付き合うのは
 ここまでだ・・・
 後は、寝ろ」

瞳を開けて、芳野は
伊吹を見つめた。

「介抱してよ」

その瞳・・・

気が変になりそうだ。

「いい加減にしろよ」

芳野の手から逃れる為に
思いっきり力を込めて引いた
伊吹の手を、今度は芳野が
パッと放した。

もちろん、伊吹はあの時の
芳野のように尻餅をつく。
 
「イテェ~、何すんだ・・・」
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