青蝶夢 *Ⅱ*
「どうしてヨシノは
 足を引き摺るような
 大怪我をしているの?
 
 どうして、私は
 そんな大切な事を
 しらないの?
 
 どうして・・・?」

言葉は、どんどん強くなる。

「どうして
 
 私だけが知らないの?」

芳野を見つめる私の瞳に
涙が溢れる。

その涙に、触れたいけれど
触れられない芳野は
目を逸らし、膝の上で
握り拳を作った。

伊吹がハンカチを私に
サッと差し出してくれた。

私は、そのハンカチで
瞳を押さえる。

触れる肩から、秘色の
悔しくて、遣る瀬無い
想いを感じ取る芳野。
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