青蝶夢 *Ⅱ*
当人でありながら、俺はそれを
他人事のように見ていた。

「俺は、夢の中でヒイロ
 お前と一緒にいた」

夢の中の秘色は

嬉しそうに笑っていた。

「目覚めた時、時間は
 思った以上に過ぎていて
 お前に逢いに行こうと
 どんなに力を込めても
 俺の左足は、ほんの少し
 しか動かなかった」

芳野の話に、体中の
血の気が引いていく。

それは、貧血にも
似た感じ・・・

「医師の話は難しくて
 俺には、さっぱり
 チンプンカンプン」

本当は、あまりのショックに
俺の頭の中は混乱していた。

「後に、カヤノの話で
 分かった事は、神経を少し
 刃が傷つけたらしく
 俺の左足は、俺の言う事を
 利かなくなった

 最悪な場合、車椅子の生活
 
 リハビリを受け、続けても
 左足は、一生、引き摺ると
 言われた
 
 そして、この通りさ」

芳野は、笑って左足に触れた。

「そんな・・・」
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