◆あたしの砂時計◆
当たり前のように、窓際の後ろから2番目の席に着いた。
とりあえず、このクラスの全メンバーだけでも把握しなくちゃ。
朝のHR中に座席表をノートに書き出した。
うーん、やっぱり、何人かは分からない人がいるなぁ。
そして、隣は、見れません。
コイツの本当の気持ち、知りたいけど知りたくないよ。
一つ分かるのは、やっぱりカッコイイ☆
今、この時期はどう想ってたのかな?
「……であるから、来週の修学旅行の班を決め、代表者は放課後時間を作ってもう。宮田、聞いてたか?」
「あ、はい」
聞いているわけ無いよ。
今みんなの顔と名前を覚え直すのに必死だったんだから。
休み時間に入り、飛ぶように小さな身体の多分仲良くしていた娘がやってきた。
「香穂ぉ、班行動一緒しよう」
「勿論。里佳、後誰誘う?」
「男女混合でしょぅ? 私ぃ、宏海くん誘おうかなぁと思って……」
男女混合? ……ウソ。聞いてない。
「香穂は、もう誘ったの?」
「誰を?」
「決まっているじゃない。良一くん」
……は? あたし、多分この時だって、誰にも言っていないよ?
「……まだ」
もしかして、此処は『もしも……』の世界だから、実際の時とは違うのかな?
えっと…… 里佳は、何処まであたしの気持ちを知っているの?
ってか、あたしたちってどういう関係なの?
カレカノなんかじゃ、ないよね?
「何やってんのよ。隣の席に居てぇ。あ、私トイレ行って来るわ。じゃ」
じゃ。って……。
それは、即ち、チャンスをあげたんだからちゃんと誘いなさいって……事だよね?
よし! 女の意地見せるからね。
そうだよ。あたしは、二度と後悔しないために、この世界にやってきたんだから。
前と同じ結末じゃ、意味無いんだから!!
─ 5 ─