◆あたしの砂時計◆

 当たり前のように、窓際の後ろから2番目の席に着いた。

 とりあえず、このクラスの全メンバーだけでも把握しなくちゃ。

 朝のHR中に座席表をノートに書き出した。
 うーん、やっぱり、何人かは分からない人がいるなぁ。

 そして、隣は、見れません。
 コイツの本当の気持ち、知りたいけど知りたくないよ。

 一つ分かるのは、やっぱりカッコイイ☆

 今、この時期はどう想ってたのかな?


「……であるから、来週の修学旅行の班を決め、代表者は放課後時間を作ってもう。宮田、聞いてたか?」

「あ、はい」

 聞いているわけ無いよ。
 今みんなの顔と名前を覚え直すのに必死だったんだから。


 休み時間に入り、飛ぶように小さな身体の多分仲良くしていた娘がやってきた。

「香穂ぉ、班行動一緒しよう」

「勿論。里佳、後誰誘う?」

「男女混合でしょぅ? 私ぃ、宏海くん誘おうかなぁと思って……」
 
 男女混合? ……ウソ。聞いてない。
 

「香穂は、もう誘ったの?」

「誰を?」

「決まっているじゃない。良一くん」

 ……は? あたし、多分この時だって、誰にも言っていないよ?


「……まだ」 

 もしかして、此処は『もしも……』の世界だから、実際の時とは違うのかな?
 えっと…… 里佳は、何処まであたしの気持ちを知っているの?
 ってか、あたしたちってどういう関係なの?
 カレカノなんかじゃ、ないよね?

「何やってんのよ。隣の席に居てぇ。あ、私トイレ行って来るわ。じゃ」

 じゃ。って……。
 それは、即ち、チャンスをあげたんだからちゃんと誘いなさいって……事だよね?

 よし! 女の意地見せるからね。
 そうだよ。あたしは、二度と後悔しないために、この世界にやってきたんだから。

 前と同じ結末じゃ、意味無いんだから!!


 ─ 5 ─
< 6 / 13 >

この作品をシェア

pagetop