【完】トリプルスレット
「ねえ、ココちゃん。俺はいつまで経っても、ココちゃんの弟?」


「え?」


「俺はもう、ココちゃんのことお姉ちゃんって思ってないからね?」


私は何も答えられなかった。

ザクザクと雪を踏みしめる音だけが、夜の住宅街に静かに響いた。


「内野コーチと練習してるココちゃん見てたら、俺、ヤキモチ焼いてたんだ・・・それでココちゃんのこと好きだって気づいた」


私の家の前で愛都の足が止まった。


「じゃあね、ココちゃん。また明日」


愛都は振り向くことなく自分の家のある方へと走り去っていった。



愛都の足跡だけが雪の中へと消えていった。


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