【完】トリプルスレット
次の日。

愛都に変化が起こった。


「内野コーチ。俺と一対一で勝負してくれませんか?」


いつもは絶対に近寄らない内野コーチの元へ、愛都は自分から歩み寄った。


「いいけど・・・心空、居残り練習付き合えないけど、いい?」


「あ、はい・・・・・・」


「・・・・・・ありがとう、ココちゃん」


愛都は、私と目を合わすと、いつもの無邪気な笑顔じゃなく、大人っぽく笑った。


「じゃ、よろしくお願いします」


愛都は自分の持っていたボールを、トンと下に置くと、内野コーチと向かい合って構えた。



冷たい空気の体育館。


だけど愛都の周りだけは温度が上がっているような、そんな気がした。



愛都の顔は今までみたこともないような、キリっとした表情だった。


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