【完】トリプルスレット
ビーッ



「交代です」


オフィシャルテーブルに座っていたスコアラーが胸の前でバツを作った。


「心空、交代」


「え・・・・・・」


「バスケは個人競技と違うの。5人でやっている以上、こんな状態の心空をコートに入れておくことはできない」


いつもは優しい友梨の口調が厳しい物に変わる。


「切り替えができるようなら、もう一度コートに戻ってきて・・・待ってるから」


友梨は私の背中を押して、ベンチへと一緒に歩んだ。


「ナイスファイトです」


一年の知代(ともよ)が私に声をかけてコートに入っていった。


私はその背中をやるせない気持ちで見送った。


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