【完】トリプルスレット
私は物陰に隠れて、蒼を見守った。
まだ蒼は7歳。
なのに、バスケのプレーは今すぐ小学校の試合に出ても戦力になるんじゃないかというくらい上手くて、私も光明も目を見張るほどだった。
私はポケットから携帯を取り出し、光明に電話をかけた。
「もしもし、蒼いたよ」
『そっか!良かった。どこにいたんだ!?』
「近くの公園のバスケコート。一人で練習してた」
『なんでそんなところに!?』
「さっき、あなたに負けて悔しかったんじゃない?……私、蒼の気持ちわかるな」
『どういうことだよ?』
「だって私も、あなたに勝ちたくて、よく隠れて練習したもん」
そうだよね、蒼。
きっと蒼はお父さんに勝ちたいんだよね。