【完】トリプルスレット
蒼は私と光明と同じようにバスケを楽しんでいる。
そう…光明がしたように、今度は私が、この子に教えてあげよう。
そして、いつか…私達と同じように、蒼がずっとずっとバスケを続けて、自分の子どもにもバスケを教えてくれたならって…そんな夢を見る。
蒼が懸命にゴールに放って、落ちてきたボールを私はキャッチして、蒼に渡した。
「蒼、いいこと教えてあげようか」
「え?何!?」
「あのね、トリプルスレットっていうのがあってね」
「え!?何、その必殺技みたいなの!」
キラキラした瞳で私を見つめる蒼。
「フフ。そうだね。必殺技みたいなものかも。これはね、お父さんがお母さんに初めて教えてくれたバスケの基本でね……」
夕日に染まる空。
光明の言葉に奮起した時も、こんな空だったな。
あの時は燃えるように見えた空だけど、今はこんなに…こんなに優しく見えるよ。
END