こころの鍵~またいつか…~
~十年前沖縄~

5月の沖縄と言うことで本来、梅雨に入り天気は良くないかもと言われながらもあたしは関係ないない!あたしは晴れ女!
と根拠のない思いこみで沖縄行きを決めた。実際、罫瑚と旅行に行ければ良かった。


「着いたねっ。しかもめっちゃいい天気だしっ」

2人は空港をでて予約しているサンマリーナへタクシーを飛ばしていた。

「桃花ちゃん。俺携帯、嶺に預けてきたわ。誰にも邪魔されんと一緒にいたいし。」と言われ感動して本当は泣きそうになったけどそんなに考えてくれてくれている罫瑚に抱きついた。

ホテルに到着するとまずゴルフでもしよう!てことになりすでに夕方近くなっていたのでお手軽なショートコースに行くことにした。


2人でなんでもないいつものじゃれあいでまわるゴルフはお祖父様などと形式ばってするゴルフとは違い純粋に楽しかった。

罫「桃花ちゃん、どんくさいのにゴルフはまあまあやな」

桃「まあまあなんは罫瑚にあわしたってるんやで」

罫「言わしといたるわ(笑)」


物覚えがないころから庭でクラブを握ってたあたしより罫瑚が上手いなんて…なんか嬉しい…て心では思ってた。



ショートコースを終えたころ真っ赤な夕焼けが海に近づいていた。

あたしは罫瑚の手をとり

「写真とろっ!早くっ」と走りだした。

灯台の前に背中あわせにもたれあいながらすわる。

桃「罫瑚…ほんまにありがとうね。桃、こんな楽しい旅行したことない。」と珍しく素直な言葉がでた。
沖縄てとこは人を素直にさせるんかな。
罫「桃花ちゃん、俺が桃花ちゃんにつれてきてもろてんで。あの金は桃花ちゃんに渡した金やからな」と照れくさそうに笑った。

ほんまに幸せで穏やかな気持ちで灯台を見ると真っ白な灯台にあたしたち2人の影が一体になって映っていた。
あたしは使い捨てカメラでかしゃり。こんな小さな思い出もかけがえのない宝物だ。
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