君の隣と先生の隣


 「先生!ワークの2番が意味不明です!」
真っ直ぐに手を上げて武井先生を呼んだ。
 「お。珍しい。」
先生は少し驚いたようにやってきた。
社会の地理。
今はアメリカについて勉強している。
アメリカで大きな山脈2つ。
そんなこと習っていない。
 「山脈なんか知りません。」
すねたように言った。
武井先生は結芽の筆箱のキーホルダーを触りながら笑った。
 「日本にもあんじゃん。山脈。しらねぇの?」
先生とは思えない喋り方、声。
 「あー!ありますね!」
地図帳で日本を開いて山脈をたくさん指さした。
 「そうそう。アメリカも同じように見ればいい。」
そう言って他の人のところに言ってしまった。
 「・・・・・・ロッキー山脈っていうんだあ。」
武井先生の言うとおりにして見つけた山脈。
少しだけ、複雑な気持ちになった。
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