大切なもの
あんなに泣きそうな香奈をあんまり見たことがなかったから無我夢中で探しまくった。

そして突然みさきが俺にあんなことを言ったんだ。


「伊藤ってさ香奈の事好きでしょ?」


みさきはなんでも分かりますよ~みたいな顔で俺に言った。


気づいてたんだ・・。俺が目で香奈の事を追ってるって事を。


「みさき・・内緒にしろよ?話したら殺すからっ!!」


みさきは急に真面目な顔になって


「分かってるよ。絶対言わないし。伊藤も大変だね・・。あんな鈍感ちゃんに惚れてね・・」

「はは・・。まぁしょうがないじゃん。これが幼なじみの壁だよ」


みさきなら絶対誰にも言わないと確信した。


それに今でもみさきは香奈にはもちろん他の人にも言ってなかった。


そして大きな木の所で泣いている香奈を見つけたんだ。


浅井の事で泣いてるんだったら・・もう諦めろよ・・。


俺の本心はそうだったけど香奈には全然反対の事を口にした。


俺のウソを聞いて香奈は急いで涙を拭いた。
そして笑顔で俺らに

「ありがとう」

て言うんだ。その時の顔がかわいくて少し顔が赤くなってしまった。


香奈には気づかれなかったけどみさきには・・笑われた。
< 58 / 102 >

この作品をシェア

pagetop