大切なもの
あの日――


香奈浅井を諦めるって華に言った日。


あの日俺はたまたま部活のサッカーが無くて家に帰っていた。

着替えてゲームでもしようかなと思っていたとき携帯にみさきからメールが来た。


みさきとはキャンプの時にお互いアドレスを交換した。


携帯を開いて見てみると

『今公園で香奈が華に浅井のことを言うよ!!多分香奈泣いちゃうと思うから行ったあげた方が良いんじゃない?まぁ伊藤の勝手だけどね』


これを見た瞬間俺は家を急いで出た。


香奈  香奈  香奈っ!!


浅井の事で泣くなよ・・!


今すぐ俺が行くから・・っ!!


俺は公園に向かう途中で香奈が前から歩いてるのを見つけた。


そして―


涙をこぼさないように必死に上を向いて歩いている香奈を。


そして向こうも気づいたみたいで涙を急いで拭いて俺に話しかけてきた。


すっごく無理して笑って話してきた。


「だから無理して笑うなって言ったろ?」


俺がそういうと笑顔が消えていって涙が溢れてきそうになっていた。


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