大切なもの
香奈が俺のことを呼んでいたけど無視して・・あいつの前で止まった。


香奈は渡さないから。


俺の本心を初めて声に出した。


あいつは香奈の事が好きなのか、俺のことを試してるのか・・・。


俺を挑発する言葉で言ってきた。


とにかく俺は嫉妬と怖さでもうコントロールが効かなくなっていた。

だから―


香奈の手を掴んで歩き出したんだ・・。



しばらく俺も香奈も無言で歩いていた。

しかもまだ俺は手を掴んだままで。離すタイミングとか分かんなくてそのまま歩いていた。


でもさすがに香奈が俺に話してきた。


「ちょっ・・啓斗?どうしたの?手離して・・?」


俺は香奈の方に振り向いた。

すると―


香奈が少し赤くなっていた。

俺は香奈が恥ずかしくなってくれたのがすごい嬉しかった。

小さな事かもしれないけど

恥ずかしくなったってことは俺の事を・・・

〝男〟として見てくれたって事だろ?今まで香奈は俺がしたことに赤くなったりしたことなかったから・・・。


俺は香奈の手をそっと離してやった。


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