大切なもの
私の鈍感さがムカつく。


知らないからって済まされる話じゃないよ・・。


「ゴメンね・・。私、啓斗の事傷つけてて・・」


啓斗は優しく笑って私の頭をなでながら


「俺なら大丈夫だから。泣きそうな顔すんなよ?さっきは無理矢理公園から連れ出してゴメンな・・」


と言ってくれた。


こうやっていつも私のこと慰めてくれるんだよね・・?

啓斗は優しすぎるんだよ?

こんな鈍感な私をずっと見ててくれたなんて・・。

本当に優しすぎるよ。


「返事はまだ良いから。ほら、帰るぞ?」

「うん・・」


啓斗はそう言うとまた笑って私に手を差し伸べてきた。


「何・・?」


私が聞くと啓斗はいたずらっぽく笑って


「今までずっと我慢してきたから・・手ぐらい繋がせて」


と言ってきた。
そうだよね・・。ずっと傷ついてきたんだもんね。これくらい・・してあげてもいいよね?


「うん。良いよ」


私はそっと啓斗の手に私の手を乗せた。
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