黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
喉まででかかった言葉を飲み込んだ。
「だよな。
…極普通な家庭に生まれてたら、少しは今とは違う生活を送ってたのかもしれねぇ」
「…………」
「まっ、今更悔やんだって意味ないし。
その家に生まれてきたのは〝運命〟なんだ。
生まれてきたら最後。
その〝運命〟に従うのみ………」
「うん、めい……」
「今の現状を抜け出したいのなら、自らが行動を起こすしかねぇんだ。
…って、お説教みてぇになってるし。
偉そうなこと言ってごめんな」
…やっぱり、辛そうな咲希斗を見たら、何も言わずにはいれなかった。
家のことなら、私の抱えてる〝闇〟と咲希斗の抱えてる〝闇〟は、似ていると思うから。
いつもなら、うるさいって思うほど喋ってるのに。
今は黙りこくってる。
そんな咲希斗を置いて、私は席についた。
今は、放っておいたほうがいいんじゃないかな。