黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
タケが来て起こされたのは、それから二時間くらいたった頃だった。
「どうしたんだ?」
「あー…っと。
青龍の奴らが煩かったから逃げてきた」
「煩いの苦手なのは相変わらずだな、お前」
タケは隣に座り、のんびりとした空気が流れる。
なんか最近平和だ。
黒蝶でも青龍でも、何一つ問題は起こってない。
でも、それが一番怖い。
「…なぁ、タケ」
「なんだ?」
「修学旅行、なにか起こる気がするんだ」
修学旅行に近付くにつれ、私の中の嫌な予感は強まるばかり。
…――修学旅行で何かが起こる。
そんな気がしてならない。
「そーいや、黒蝶の地域に行くんだっけか。
そりゃ大変だ」
「あぁ。
何も、なけりゃいいんだけど…」
「確かにな。
バレたらそこまでだ。
…でも、初っぱなからそう思ってたら、マジでそうなることがあるんだぜ?
だから、そんなに気にしねえほうがいい」
「…そうだね。
ありがと、少し元気でたかも」
口ではそう言ったけど、やっぱり不安でしかない。