黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
少しずつ近づいていくと、会話がうっすら聞こえてきた。
「…――銀の悪魔―――」
「――――…らねぇ」
「…………―くま…――――って、どこ…―――――?!」
〝銀の悪魔〟というワードがハッキリと聞こえた。
あぁ、銀の悪魔を探してるのか。
さて、どうしよう。
話しかけるか、素通りするか、別の道から行くか。
…まず、話しかけるはバツだ。
話しかけて、私まで探すことになるのは御免。
それに、早く帰って寝たい。
素通りったって、バレる確率大だし……。
別の道から行くにしても、遠回りになる。
どうしよ…。
「あっ、月夜いたっ!!」
突如、背後から声が掛けられた。
その声は結構なデカい声で、青龍の奴らがこっちに振り向いてしまった。
見つかりたくなかったのに。
なにやってんだよ、タケ。
声からしてタケだろう。
振り返ると、やっぱりタケの姿。