黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
「それはそうと!
今日、何処行ってたんだよ?」
「どこも行ってないけど」
「はあ?
矢崎たちと途中で別れてからだよ!」
「そのままホテルに直行したけど?
疲れて寝てたかったからな」
「用事、って…」
「ホテルに帰って寝るって言ったら、すんなり帰してくれたのかよ?」
「う…っ」
「それに、これでも立派な〝用事〟だろ。
……じゃ、俺寝るわ。
あー、そうそう。
咲希斗、俺もダチとして好きだぜ?」
リビングをでて、自室へ戻る。
來希はいっつも煩いなぁ。
いちいち突っかかってくるし、怒鳴り散らして煩いし……ったく。
少しは紅蓮を見習ったらどうなんだ。
……いや、紅蓮ほど無口になられちゃ困る。
夏芽か海翔あたり、かな。
「つっくーん!
僕たち親友だよねっ?」
「……そうかもな!
これからもよろしくな、親友さん」
俺が好きだと言ったのがそんなに嬉しかったのか、部屋越しに咲希斗の叫び声と共に、そんな声が聞こえたから、一応返しておいた。
親友……。
そうだね、青龍の中だったら、咲希斗と一緒にいることが多いし、一番仲がいいかもしれない。
親友ってのも悪くないな。