黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
実家
三年ぶりの実家。
少し体を強ばらせ、門をくぐった。
「「「若、おかえりなさいっ!!!」」」
待機していた組の人たちが一斉に頭を下げ、〝おかえり〟と言ってくれた。
三年もの間、家出をしていた私にだよ?
前みたく感情のない挨拶じゃない。
今のは、ちゃんと感情のこもっている挨拶。
それが私にとって、とっても嬉しかった。
「若、親父っさんが部屋でお待ちしています」
「……わかった。
ねえ、慧。
親父のこと、勘違いしてたのかな、私」
「…そうですよ。
実は親父っさんは、若が中学生になったら本当のことを言うつもりだったんです。
けどその前に若は勘違いしたまま家出してしまって……」
「本当の、こと…?」
「……香月さんと修亮さんのことです」
母さんと、修亮のこと?
香月‐カヅキ‐とは私の母親で、
修亮‐シュウスケ‐とは私の双子の弟のこと。
母さんと弟を、親父が捨てたんでしょ?
それが本当のことでしょう?
それ以外、何があるっていうの?