黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
親父の言うことなんて、今更信じられるはずがない。
だってそうでしょ?
今までたくさん嘘をつかれていたんだから。
母さんのことも修亮のことも……。
いつも私にだけ、嘘をついて本当のことを言ってはくれなかった。
「親父はどうせ…っ!
私のことなんか、〝跡取り〟としか思ってないんだよ!!!」
パン…――ッ!!
「――――ッッ!?
な、にすんだよ!!」
いきなり頬を叩かれた。
ジンジンして、…痛い。
「ふざけるのもいい加減にしろ!!!
お前は俺の大事な娘だ!
それ以外に何がある!!?」
親父の目は、それはそれは真剣で。
嘘を言ってるようには見えなかった。
「香月と修亮は今、隣県にある、麗桜グループ所有の別荘で暮らしてる。
別居したのは、2人の命を守るためだった。
その頃、抗争が頻繁に行われるようになった。
本当は、香月と月乃に家を出てもらって、修亮を残すつもりだった。
でも………」
母さんと修亮を守るため………??
抗争が頻繁にあっ、た………??
本当は、私と母さんが行くつもりだった………??
そんなの知らない。
知らない、よ?