黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ








親父の言うことなんて、今更信じられるはずがない。


だってそうでしょ?



今までたくさん嘘をつかれていたんだから。

母さんのことも修亮のことも……。



いつも私にだけ、嘘をついて本当のことを言ってはくれなかった。






「親父はどうせ…っ!
私のことなんか、〝跡取り〟としか思ってないんだよ!!!」



パン…――ッ!!



「――――ッッ!?
な、にすんだよ!!」






いきなり頬を叩かれた。

ジンジンして、…痛い。





「ふざけるのもいい加減にしろ!!!
お前は俺の大事な娘だ!
それ以外に何がある!!?」






親父の目は、それはそれは真剣で。

嘘を言ってるようには見えなかった。






「香月と修亮は今、隣県にある、麗桜グループ所有の別荘で暮らしてる。

別居したのは、2人の命を守るためだった。

その頃、抗争が頻繁に行われるようになった。

本当は、香月と月乃に家を出てもらって、修亮を残すつもりだった。

でも………」







母さんと修亮を守るため………??


抗争が頻繁にあっ、た………??


本当は、私と母さんが行くつもりだった………??





そんなの知らない。


知らない、よ?








< 362 / 514 >

この作品をシェア

pagetop