黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
親父は恨んではいたけど、親父の跡を継ぐことは嫌じゃなかった。
継いで、この組を変えてやる、って思ってたし、
継ぐ運命なんだ、と半ば諦めていたこともあった。
「ここでは男装する必要はない。
宴までには普段の格好に戻りなさい」
「…ん、わかった」
朱鷺と一緒に、私の部屋に行った。
三年前とあまり変わっていない部屋。
私がいない間も掃除してくれてたみたいで、埃1つ見あたらない。
「洋服は、今のサイズで揃えています。
一応、女服と男服、どちらとも。
あとこちらにはメイク道具もありますので、ご自由に」
「わざわざ、揃えて、くれたの?」
「お世話係ですから」
ニッコリ笑う朱鷺は三年前とあまり変わらない。
懐かしいなぁ。
よく、朱鷺と美鶴と一緒に遊んだっけ。
屋敷内でかくれんぼとか鬼ごっことか…。
それに、しょっちゅう修亮と一緒にイタズラしてた。
今思えば、随分と迷惑かけてた。
まっ、みんな楽しそうだったからいっか。