黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
「宴の時間になりましたら、お迎えに参ります」
朱鷺が去ったあと、服を着替えた。
もちろん、女服。
カツラを外し、カラコンも外した。
組のみんなは、この姿を見るのは初めてだろう。
赤い髪、瞳は天然だけど、メッシュは家出したあとにつけたから…。
驚くかな?
…いや、みんな私が紅蝶だって知ってるんだし、驚かない?
支度を終え、ベッドに横になり携帯を開いた。
あ、観月からだ。
たぶん観月のことだから、心配してかけてきたんだと思う。
「…あ、もしもし、観月?電話した?」
『おう。
で、どうだった?』
「仲直りした。
今日宴やるみたいだから、今日は泊まるよ」
『そうか、良かったな。
こっちは大変だったんだぞ?
訳の分からない青龍が、お前が連れて行かれちゃったー!、って騒ぎはじめたんだから』
「やっぱり?」
『まぁ、月夜の実家の奴だから安心しろ、とは言い聞かせてはいるけど。
藍川は銃を突き付けられて怖かった、って煩いし(笑』
「次会うとき謝っとくわ」
『あと、さ。
紅蓮と夏芽には気をつけろ』
「なんで?」
『月夜の実家のこと気にし始めてる』
暁と航太が……?
前から、私のこと調べてるのはわかってはいた。
けど、今回ので更に怪しさを増してしまった、ってことか。
タイミング悪いな。