黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
「だったら、このままハッキングしてくれたほうがいいかな」
「なんで、なんでそこまで……」
なんでそこまで隠したいのか、でしょ?
暁たちが聞きたいのは。
「僕たちのデータが知られるくらいなら、このままハッキングされてたほうが断然いいよ。
それに。
いくらハッキングしても僕たちのデータのロックを解くことは出来ないよ」
「どうしてそんなに自信がある」
「僕たちのデータを管理してる人たちの腕が完璧だからだよ。
その人たちのうちの1人が藍なんだけどね」
黒蝶のデータ管理は、初代情報参謀と各代の情報参謀が行う。
初代の腕も藍の腕も完璧。
二人の二重ロックを外すことはまず出来ないだろう。
いくら航太でも。
「話しはこれだけ。
じゃあ、またね、みんな。
月夜、帰ろうか」
「……あぁ」
幹部室を出るとき。
ふと感じたのは、みんなの疑いの眼差しだった。