黒蝶‐総長♀×総長♂‐ Ⅰ
ドサッと目の前に置かれたのは、5教科分のテスト用紙。
それをやれ、と。
「やんねえとお前、留年だからな」
「……いま?」
「当たり前」
「何時まで?」
「んーとな、多めに二時間取ってやるよ」
「「「二時間!?」」」
ん、二時間か。
観月にしては多めにとってくれたみたいだ。
「理事長…?
二時間は無茶だろ…」
「そうだよっ!
二時間だなんて…」
「二時間ね、了解。
暁たち、話しかけんなよ」
シャーペンを手に持ち、サラサラと書き始める。
なんだ、これ。
簡単すぎだろ。
最後らへんは応用らしく、さっきの問題よりは難易度は高くなってるけど、私からしたらへっちゃら。
―――――――…
――――…
―…
「……ふぅ。終わった」
「はっ、はや!
まだ五十分しか経ってねえよ?!」
「月夜にしちゃ、遅かったんじゃない?」
「理人の言うとおり。
前より10分遅くなってるぞ」
「しゃーねえだろ。
周りにこんだけ人がいたら集中できないよ」
いつもなら、40分くらいで終わっちゃっうんだけどね。
でも、周りに暁たちがいるし、こんなに注目されながらって、やりづらいんだよ。